いつものようにう蝕の治療をはじめる時に、患者さんに対して「今日は、むし歯の治療をします、むし歯の部分を取って詰める治療で済むと思います、もし、歯の神経まで進行していたら神経を取る治療に切り替えます。」というような話をしますが、そう話すと、「つめるって何ですか?」と質問を受けました。
自分にとってはあまりにも日常なのですが、患者さんにとってはそうか、、わからない事ってあるよなと、反省。
ということで、ブログにむし歯の治療について簡単に書いてみます。
う蝕は細菌感染のよって起こりますので、基本的には感染歯質の完全除去です。
そのあと、除去した部分に光重合型(光で固まる)コンポジットレジン(樹脂の中にフィラーと呼ばれるガラスの粉のようなものが入ったもの)を詰めて、光を当てると固まりますので、光照射して固まったら形態修正とかみ合わせの修正をしてから研磨終了です。
詰める治療では無理な場合は、型を採って歯科技工所で金属やセラミックで冠や部分的な被せものを作ってもらうと言うことになります。
今回はコンポジットレジン充填(じゅうてん)の内容です。
奥歯が黒くなっているのがお分かりいただけると思います。
これは一度治療した歯が再びむし歯になった、二次う蝕(二次カリエス)と言います。
一度治した歯は、歯と詰め物との間に境目があるので、再びう蝕になりやすいのです。
なぜなら、人間が平らに見えても、細菌にとって境目は谷間のようなものです。
最初はきちんと平らでも、お口の中は温かいものも冷たいものも食べますので、膨張収縮の度合いが、歯とその詰め物とは微妙に違いますので、だんだんと段差になってしまったりするのです。
なるべく正常な歯質を削らないようにう蝕部分を削って、う蝕検知液と呼ばれる虫歯菌に感染した歯質を染る液で染まった部分を削って、また染め手を繰り返します。
う蝕は多菌層・寡菌層・先駆菌層・混濁層・透明層・生活反応層と6層に分かれています。と学生時代暗記しましたが、今もそうなのか?は勉強不足でわかりませんが、先駆菌層までを除去します。
写真では茶色く見える部分がありますが、この写真はう蝕部分は除去された健康な状態です。
さて、ここからは詰める治療に入ります。
一番下の紫色の液が「う蝕検知液」
左の縦長のボトルはボンディング液と呼ばれる、詰める材料の光重合型コンポジットレジンを歯質に強固に接着するための液です。
たった5mlで1万数千円もする、私はいつも冗談で言っていますが、世界一高い液体です。
恐ろしい価格です。
横長の3本の物体は、光重合型のコンポジットレジンです。
その上のスティックはボンディング液を塗るために使います。
詰めて形を整えて光照射10秒、、
固まったら、先に書きましたように
形態修正とかみ合わせの修正、研磨して終了となります。
1本奥の歯も黒いので一緒に治せば良いのでは?と疑問の声もあがりそうですが、一枚目の写真を見て下さい。
その奥に手前に曲がって生えている、やはりむし歯になっている親知らず(第3大臼歯)が見えます。
この歯を抜くと、手前の第2大臼歯の奥側もむし歯になっている可能性が大!なので、今回は手をつけませんでした。
1本手前の第2小臼歯(5番)の咬む面も治しているのにお気づきでしょうか?
一枚目の写真と見比べて見て下さい。
ということで、治療の疑問は院内や相談メールや電話でお受けしておりますので、お待ちしております。