先日新聞に歯を削る器具の使い回しの記事が出て、それがヤフーや読売の医療サイトでも掲載されたためにけっこう話題になりました。
診療をするにあたっては院内感染予防は非常に大切なことです。
しかしながら、歯を削る器具以外にも私達が毎日診療をするに当たってやらなければならない院内感染予防対策が沢山あります。
院内感染予防は、患者さんと私達医療従事者の両方を守る事になります。
歯を削ったり歯石を取ったりする器具は、確かに血液や唾液に触れやすい器具ですね。
エアー圧で動くタービンと呼ばれる歯を削る器具と歯石を取るためのスケーラー、モーターで動くコントラと言われる器具が2種類と義歯の調整などをするストレートハンドピースが1種類、1台の診療台にその診療内容によって、1〜5種類の器具が必要になります。
上の写真はそれらの一部が写っていますが、大町歯科はユニットが3台の小さな医院ですが、40本以上用意しています。
1本あたり数万円から高いものでは20万円を越えるものもありますので、大変な金額です。
滅菌は専用の滅菌箱や滅菌のパックに入れて、一般的には高圧蒸気滅菌器と呼ばれる器具で滅菌します。
この器具では22分で滅菌することが可能です。
歯を削る器具だけ滅菌してもしょうがありませんし、高圧蒸気で滅菌できないものもありますので、いろいろな器具などをいろいろな方法で適材適所で行わなければ、歯科医院での院内感染防止は片手落ちとなってしまいます。
器具は滅菌、紙コップとかエプロン安頭台(ヘッドレスト)のカバーもディスポーザブル(使いすて)のものにしています。
グローブは1名の患者さんに歯科医とアシスタントが1度使ったとして2組必要ですが、皆さんもおわかりかと思いますが、3台ユニットがありますので、患者さんを見て麻酔が効くのを待ってるうちに他の方の入れ歯の調整をする。なんて事があたりまえににありますので、患者さん一人あたりグローブは2〜5組は使うのではないかと思います。
器具を揃える金額だけではなく、毎日使う使い捨てのものやその廃棄代、滅菌器具のランニングコストなど、本当に大変です。
毎日出るゴミの量に本当に驚きます。
強力な消毒薬や化学的滅菌薬は人間にも有害なものも多いですので、塩素系の消毒薬より10倍の効力があると言われているオゾン水生成器も導入し、手洗いや器具の洗浄、患者さんの歯の型を採ったあと石膏を流す前の消毒、また石膏を練る水にも使っています。
その他、大町歯科では削った時に顔の周囲に飛び散る切削片や霧状の水を吸い取って屋外に排気する口腔外バキュームを1991年にいち早く導入しています。
少し前に話題になった、プラズマクラスターイオン発生器(業務用)も2010年に導入しています。
私が歯学部の学生の時にある教授が「流水に優る消毒はない」言ったのが忘れられません。
とにかく大事なのは、私達が診療を受けるときに、これは汚いなこれはいやだなと思うことが無いようにすることが、良い結果を導き出すと考えて、終礼などでスタッフとアイディアを出したり注意しあって頑張っております。
更に良い器具や方法など導入できるようにも頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。