大町歯科では、1997年4月よりインプラント治療を行っています。それ以前よりやりたかったのですが、主流である海外製のインプラントは、私の印象では必要以上に複雑であったり、コストがかかりすぎて、患者さんにお支払い頂く金額もかなり高価になるので、踏み出せないでいました。そうしているうちに、シンプルでこれならばと言う国産の製品が発売されていることを知り、導入に踏み切りました。
現在まで間、かなりの数の埋め込み手術をしてきましたが、臨床成績も世界的な数字と同様で何ら遜色ないと考えています。それならば、価格は安くシンプルな方が、患者さんと歯科医師双方に利があると今あらためて考えています。
さらに、前ページでご紹介したとおり、今まで手術してきた9割以上は歯肉を剥がさない方法で埋め込んできました。
手術時間や手術侵襲も少なく、痛みや腫れの出現率は格段にすくないと考えています。インプラントは手術後、骨と結合がうまくいかなくて脱落してしまうこともありますが、これまた世界的な成績となんら変わりないので、私は可能と考える症例では今後もこの方法をとろうと考えています。

はじめは奥歯がないので入れ歯になってしまうのを避けたい、と言う患者さんのニーズに答えたいためにインプラント治療を開始したのですが、数をこなしていくにしたがって、10本以上を一人の患者さんに埋め込む症例などもいくつか経験させてもらいました。
そんななかで、こうあったらいいなという希望が、インプラントの埋め込み手術後に骨と結合する期間、3〜4ヶ月を短縮、または無くすることが出来ないかということです。
あと、歯の根が腐っていて、それによって歯のまわりの骨が溶けて薄くなってしまった症例に対応出来ないことにも困ってしまいました。そういう場所には骨を拡げる器具を使ったり、骨を増やす材料を使ったりしております。

標準タイプインプラント
これが1997年から採用しているタイプです。
世界的に有名なITIインプラントとよばれるインプラントを日本人の顎の形態などに合わせてアレンジしたもので、審美性に優れ、成功率も高いインプラントです。他の数あるインプラントと同様、通常、骨との結合期間が3〜4ヶ月かかりますが日本製品の精度の良さは皆さんが知るところです。主流として使っていきたいと考えています。

私は輸入製品を偏愛?する傾向にありますが、ことインプラントに関してはこの製品を偏愛しています(笑)
埋め込み手術時には、ヘッドと呼ばれる土台部分はついておりません。骨との結合ののちに土台部分を取り付けます。
磁石で入れ歯を安定させたりする土台や、角度のついた土台などいろいろ取りそろえられています。

料金 本体+手術代 176.000円〜
(特別太いタイプであったり、前歯で審美性が特に必要な場合や角度のついた土台が必要な場合など、5.000円からの追加料金がかかります)
HAタイプ 上記の標準タイプに骨と着きやすいコーティングをしたタイプです。9.000円ほど割高になりますが、より良い結果のために症例によってお勧めいたします。


インプラント手術前の検査・治療計画料は簡単なもの5.250円〜複雑なもの10500円になります。
CTを依頼して外部で撮影していただく場合、大学病院で骨を増やす手術を受けられる場合は、別料金です。

インプラント本体の上には上部構造体とよばれる「歯」の部分が必要です。
上部構造体は、
30.000円(金属冠)
44.000円(ハイブリッド冠)
90.000円(メタルボンドクラウン)
90.000円~(ジルコニア)
となっております。

インプラント手術代には、基本投薬料、上部構造体セットまでの再診料、仮歯の作成などの料金が含まれます。
上部構造体セット後の、再診料は2.100円〜となっております。
インプラントにかかわる入れ歯や、天然の歯でもインプラントとブリッジにする場合など、保険が全く使えなくなりますのでご注意下さい。
インプラントも手入れを怠りますとインプラント周囲炎という歯周病と同じ状態になります。
これにかかわるお口のケアも保険外の料金設定があります。

詳しくはおたずね下さい。

写真左上のレントゲンの横が埋入直後とその仮歯です。

歯肉は剥離しないため、出血もほとんどありません。
これはスパイラル(=螺旋・らせん)タイプいうもので、いかにも骨と安定して結合がしやすい印象が見た目にもあると思います。(特殊なときに用います)

左は骨の幅が極端に少なくて、特殊なタイプを埋入しました。(これは残念ながら予後不良で脱落、のちに再手術しています。)


上左は下顎の6番目の歯がダメになってしまって、抜歯することになりました。5番7番が残るので、通常はブリッジにするのですが、患者さんがインプラントを希望され埋入することになりました。模型やレントゲンなどの資料を元に、太い神経と血管が入った管を避けて、埋入する長さや太さのシュミレーションをした後に手術をします。
あとは、一定期間毎に骨の出来具合をチェックして、約3ヶ月後、上部構造体をセットします。
こちらは、6番7番欠損で取り外しの義歯(入れ歯)が嫌で、インプラントを希望され埋入した症例です。
同様にシュミレーションしたあとに埋入しました。
ほぼ理想的な位置と深さに埋入できました。

この方は初診時、下の歯はほとんど残っていますが、上は4本のみであとは取り外しの入れ歯でした。

入れ歯が嫌なので、インプラントで取り外しをしないで咬めるようにして欲しいとのご希望でした。上の残った4本もかなり、状態は良くありませんでした。
ご本人はもうこれ以上歯を失いたくないと仰いました。
奥歯部分のアゴの骨が薄く、骨を増やす手術をお勧めしましたが、それはしたくないとのことで、いろいろお話し合いをした上で、お引き受けすることにしました。

臼歯部にはほとんど植えられないのと、危惧したとおり脱落した部分もありました。結局御自分の歯は一本だけ残しました。この写真ではわかりませんが、女性で歯列のアーチがかなり小さい方であったので、お引き受け出来た部分もあります。
治療上、もっとこうすると良かったかなと、この写真だけみると思うところもありますが、生活の質を変えないでこの咬み合わせを獲得できたことには患者さんにも喜んでいただけたと思っています。


向かって右下の奥歯の根の中の治療もしていますが、根の先の膿の袋がなくなってきているのがわかります。


インプラント治療は保険もきかないですし、高額な治療ではありますが、これまでやってきて思うことは、患者さんのニーズと満足の両方をえられる治療だなということです。
しかしながら、インプラント治療が絶対と言うことではないこともご理解頂きたいと思います。

骨に結合しないで再手術を強いられる事も当然あります(再手術は無料です。)。ある症例で、隣りあって2本植えた方のインプラントは、私の感じでは非常にうまくいったなと思ったのですが、手術後、骨結合することなく脱落してしまいました。過去に根が腐って、それを残すことが出来なくて抜歯したあと、骨が出来るのを待って埋め込んだのですが、根が腐っていた頃の細菌感染の影響が、今でも残っているのとも推測しています。木材にねじ釘を打ち込むのと違って、相手が生体であることをあらためて思い知らされた症例です。

左の写真は、骨結合して上部構造体も入れたあと、数年してインプラント周囲炎(本物の歯で言うところの歯周病)で摘出を余儀なくされたインプラントです。
この方は埋入後、メンテナンスに来られることなく過ごされてしまわれたので、このような結果になって非常に残念に思っています。
それでも、一部にちゃんと骨が結合しているのはわかります。

あと、インプラントはご高齢の方でも大丈夫な場合が多いですが、糖尿病であったり、タバコを吸われる方は、適応にならない方が多いと思いますので、その点ご理解下さい。