次亜塩素酸水とオゾンナノバブル水

私たちが毎日たずさわっている歯科治療では、う蝕・歯肉炎・歯周病など、これは細菌との戦いでもあります。

歯肉炎はまだしも、歯周病(炎)治療では通法通りの治療を進めてもなかなか思い通りに治癒の方向に向かって行かなくて悩んでしまうこともあります。

基本は歯垢の除去(医院でのケア+自宅でのケア)と歯石などの除去(医院でのケア)+感染した根の表面の研磨清掃(医院でのケア)等ですが、これのどれが欠けても歯周病は治ってくれません。

さらには、細菌が相手なので、患者さんの免疫力も大きく関係してきます。
寝不足もそうですし、糖尿病などの疾患がある方も進行しやすいのです。

そんなこともあって、補助的な引き出しを考えて用意しています。最近注目されているのは、機能水と呼ばれる水です。

大町歯科では2008年12月にオゾン水(O3)生成器 を導入しました。

http://oomachishika.com/mobile/syoukai/o3.html
主に手洗いや器具の洗浄消毒、また、小手術時の洗浄などにも使うことがあり、重宝しています。
このオゾン水の欠点は、30分もすると普通の水に還元されてしまうことです。
(裏を返せば、環境に優しいという長所ではあります。)
塩素系の消毒薬の10倍以上の殺菌効果があると言われています。
しかも、うがいなどに使っても安全です。

次に
2010年11月には 高濃度電解次亜塩素酸水(エピオスウォーター)をつくる生成器も導入しています。


この水は、テレビで紹介されたパーフェクトペリオという歯周病に効くと言う水を観た方もいらっしゃると思いますが、 この水とは違いますが類似の水です。
歯をよく磨いて、この水でうがいして寝ると、朝の壮快度は全然違います。
うがい様に下の写真の様なボトルにつめて受付に置いてあります。
歯周病でなかなかじゅくじゅく感がとれない場合、歯石除去や洗浄の時に、水道水の代わりにこの水を治療に使って良い結果が出ています。

2011年末に試験的に導入してみたのが、オゾンナノバブル水です。
先に書いたオゾン水(O3)は、30分もすると普通の水にもどって効果がなくなってしまいますが、 このオゾン水はナノバブル技術を使って長期に安定したオゾンの効果を得られるものです。
オゾン臭はしないかわりにしょっぱい味がします。
色は、薄いピンク色です。

2年程前に、テレビで放映されていて知ったのですが、入手方法を昨年秋に見つけまして導入してみました。
次亜塩素酸水は確かに効果を感じますが、この水は最近試験的に使い出したばかりですので、またご報告したいと思います。

以下に共同通信社の11月29日付けの記事を転載しますので、読んでみてください。

極微小の泡で歯周病治療 強い殺菌力と高い安全性 オゾンナノバブル水 「医療新世紀」

共同通信社  11月29日(火) 配信

直径100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下という極微小のオゾンの気泡を含む水を歯周病治療に応用する試みが 始まっている。「オゾンナノバブル水」と名付けられたこの水は、塩素系の殺菌剤と比べて10~30倍という強い殺菌力を持つ一方、飲用も可能なほど安全性 が高いという。歯周病の治療時や、治療後のうがいに用いることで、口内の歯周病菌を抑制できると期待されている。

▽洗浄とうがい

歯周病は、歯と歯肉の境界部分に付着した口内細菌の集合体「バイオフィルム」や、これが硬く変化した歯石が原因となり、歯を支える歯周組織が破壊される炎 症性疾患だ。進行すると、歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)がどんどん深くなり、炎症が歯槽骨などの深部にも及んで、ついには歯が脱落してしまう。

治療では、スケーラーという器具でバイオフィルムや歯石を削って除去するが、その際にオゾンナノバブル水で歯周ポケット内を洗浄したり、治療後、継続的にうがいをしたりすることで高い効果が得られるという。

荒川真一(あらかわ・しんいち)・東京医科歯科大助教(歯周病学)によると、従来、洗浄やうがいに使われてきた薬剤には、歯や舌への色素沈着や強い刺激、 急性のアレルギー反応などの副作用があった。一方、オゾンナノバブル水は、実験で生きた細胞に24時間作用させても細胞数に変化はみられず、体に無害であ ることが証明された。

▽耐性菌作らず

また、歯周炎の患者4人に、オゾンナノバブル水によるうがいを毎日2回、2週間続けてもらった結果、3ミリ以上の歯周ポケット計225カ所のうち139カ所(61・8%)で1ミリ以上の改善がみられ、出血部位も3分の1以下に減った。

「患者さんにはブラッシングなどの指導はしておらず、うがいだけの効果で歯肉の炎症が減少した」「薬剤と違い、耐性菌を出現させる心配もない」と荒川さんは話す。

「ナノバブル」とは何なのか。生成方法を民間企業と共同開発した産業技術総合研究所の高橋正好(たかはし・まさよし)主任研究員によると、通常の気泡は水 中を急速に上昇し、水面で破裂して消える。また、これより小さい直径50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の「マイクロバブル」と呼ばれ る気泡は、ゆっくりと上昇しながら縮小し、最後は完全に水に溶けて消滅する。

これに対しナノバブルは、マイクロバブルの縮小がある段階で中断したもので、長期にわたって水中に安定的に存在し続けるという。

▽イオンの殻

「水に溶けるはずの泡が消えずに残る。これは常識では考えられなかったこと」(高橋さん)だが、研究の結果、仕組みが分かってきた。「マイクロバブルの縮 小過程で、水に含まれるイオンが気泡の周りに高い濃度で集積していく。すると、集まったイオンが”殻”となって、内部の気体が水に溶けるのを妨げる」と高 橋さんは解説する。

高橋さんらはマイクロバブルに特殊な方法で刺激を加え、ナノバブルを効率よく作る方法を開発した。オゾン以外でも酸素ナノバブル水などの研究が進み、幅広い応用の可能性が示されている。

オゾンの持つ強力な殺菌力を泡に閉じ込めたナノバブル水。紫外線を防ぐなど、適切に保管すれば年単位で効果が持続する。使い勝手の良さもあり、導入する歯科医が増えつつあるという。

一方、インターネット上には通信販売の広告も散見される。荒川さんは「ばらばらの菌に対しオゾンナノバブル水はよく効くが、バイオフィルム自体を壊す効果 は無い。うがいさえすれば歯周病が治るわけではない。きちんと歯科医に通い、治療を受けた上で使うべきだ」と呼び掛けている。


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