総入れ歯には吸い付く条件があります。あごの骨が減って条件が悪い難症例もありますが、保険の入れ歯でも十分な事がほとんどです。吸い付く入れ歯は吸い付きそうな形をしています。しかし、下の入れ歯は苦労することが多いです。
歯周病によって歯がぐらぐらで、数本の抜歯をしなくてはならない場合、それではかなりの間、咬めない状態になってしまいます。以下は
「即時義歯」という方法で、抜歯した当日に入れ歯を入れた症例などのご紹介です。

1本を除いて計7本抜歯の適応なので、抜いてしまうと食事もほとんど丸飲み状態になってしまいますし、第一、人前でお話さえ出来なくなります。それが入れ歯が出来るまで2週間あまり続くとなりますと、日常生活に支障をきたしてしまいます。 石膏模型上で、仮想の抜歯したあとの状態 を作りそれで入れ歯を作成します。
それで、入れ歯が出来上がったら、装着する日に抜歯して入れ歯を入れるわけです。
この症例では、7本抜きました。どの歯も根の先の方まで、歯石がびっしり付着しています。
抜歯後、待合室でしばらく止血するのを待っていただきます。その後このように入れ歯を装着いたします。来院されたときと同じ様な状態でお帰り頂けるわけです。もちろん「即時義歯」にも短所はあります。
抜歯した傷口は安定するのに3〜4ヶ月間はかかります。その間は入れ歯と歯ぐきの 間に徐々にすき間が空いてきます。その補正を何回かは、しなくてはなりません。でも、3ヶ月も歯無しの状態で過ごすより、ずっと良いと思います。いかがですか?
普通ですと、この状態でお帰りいただくわけです。新しい入れ歯が入るまで2週間はかかってしまいます。

「即時義歯」の長所は、今ある患者さん固有の「噛み合わせ」かなりそのままの状態で再現できることにもあります。

総入れ歯の「即時義歯」例です。
上の4枚の写真ですが、上は1本あった歯が抜けてすぐ落ちる総入れ歯状態、下は11本残っているものの、型を取ったら一緒に抜けてきそうなぐらい、全ての歯が歯周病末期の状態でした。歯石の付着も凄い量です。
何とか型を取って、入れ歯のセットの日にご覧の11本抜いて総入れ歯(下写真)を入れることが出来ました。
「即時義歯」の利点は
1.入れ歯の無い期間が無く新しい入れ歯を入れることが短期間で出来る。食事もある程度できるし、他人からはわからないと言うことにつきます。

では、欠点は
1.すぐには入れ歯が入るが、当日は細かな調整が出来にくい。
2.抜いた場所の粘膜は治るにつれて変化するので、3ヶ月ほどは、入れ歯がすぐにゆるくなりやすいので、裏打ちを何度かする必要がある。
です。
しかし、利点が欠点を上回ることは言うまでもありません。適応症を見極め作製しています。

これは、落ちてしまう入れ歯の修理です。
山形の筋がみえると思います。
修理前はここまでしかピンク色の部分が無かったのです。
これでは入れ歯は落ちてしまいます。そこで、患者さんの口の中で、吸い付きがでる部分まで延長しました。
大きな口を開けても落ちない入れ歯に、一度の治療で変身することが出来ます。

これは「金属床義歯」といわれる入れ歯です。
金属の部分が薄く、熱を伝えやすいため、食事をしたときのおいしさが違うと言われています。総義歯の方にはお勧めの義歯です。

これは金属のバネの目立たない部分入れ歯です。
普通は左下のような金属のバネが両側につきます。
しかしそれは2番目の歯にかかるため、入れ歯を入れていますと言うように目立ってしまいます。
そこで、右上の様に根の表面に金属を埋め込みます。そして、入れ歯の方にマグネットを埋め込みます。それで入れ歯が固定されるのです。保険はききませんが、左上の様にめったなことでは入れ歯とわからない、入れ歯が出来上がります。
目立たないという点では、次ページの「ノンクラスプ義歯」も良いと思いますので、ご覧ください。