近年「噛み合わせと健康」という言葉を耳にすることが多くなりました。
この問題は非常に重要な問題です。
まず第一に噛み合わせを整えていくことによって、身体を健康にしていくということはかなり難しい治療と言えると思います。下手をすると健康を害す事にもなりかねません。
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噛み合わせと健康」という事を勉強しはじめたのが、1991/04/17 ですからかれこれ、10 年の年月が経ちました。自分の身体を実験台にして身体を壊してしまったこともあります。ですから私は出来るだけ身体に負担をかけないように、壊さないように原因を少しずつ探って治していこうと思っております。
日常の診療では良い噛み合わせを壊さないように、そして理想的でない噛み合わせは、保険診療においても出来るだけ修正しながらよい噛み合わせを獲得出来るように努力いたしております。
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左の写真は上の2番3番が反対咬合になっていますね?この方は、この2本のおかげで、噛み合わせが左右にずれたまま成長してしまい、そのずれは身体のねじれとなってしまいました。結果、月経困難症に悩まされることとなります。歯の生え換わりの時に対処していれば、このような結果にはならなかったでしょう。
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この方は睡眠時の歯ぎしりに悩まされていた方の術後の写真です。
4番目の歯がねじれていることによって、顎の滑らかな側方運動が阻害されていました。
そのことによって、筋肉の緊張が起きストレスとなって歯ぎしりが起こっていました。
そこで、本来望ましい噛み合わせを、3番目の歯の長さを調整することによって、与えてみました。その後、歯ぎしりはなくなりました。筋肉のよけいな緊張がなくなったためだと考えられます。
ここでみていただいた二つの症例は、比較的原因が特定しやすいものです。
しかし、噛み合わせと健康には一筋縄ではいかない、もっともっと難症例があります。
この写真は身体の不調を訴えるけど、病院の検査では悪いところが見つからないと、来院された方の歯の模型です。
X線写真や数種の噛み合わせから判断して、特殊な方法で咬合器と呼ばれる器具に取り付けました。
奥歯に隙間のあることがお分かりいただけると思います。
口の中では、こんな隙間はなくちゃんと噛み合っています。しかし、この隙間のある噛み合わせがこの方には理想の噛み合わせであろうと、考えられるのです。で、この隙間をうめる樹脂製のスプリントを入れて微調整していくのです。不思議なことにこんなモノを入れると、ふつうですと高くて噛み合いません。ところがこういう方はちゃんと噛み合うので不思議です。
さて、次のページを御覧ください。